『The Stone Roses』The Stone Roses
自分にとって永遠の金字塔の様なアルバム。
素晴らしいメロディ、圧倒的な快楽をひき出すダンスミュージック。
自己顕示欲とナイーブさの結合。
そして何よりもドラマー、レニのマジックリズム。
形は歪でいても、ものすごい輝きを放つ絶対に壊れないダイヤモンド。
- I Wanna Be Adored
- She Bangs the Drums
- Elephant Stone
- Waterfall
- Don't Stop
- Bye Bye Badman
- Elizabeth My Dear
- (Song for My) Sugar Spun Sister
- Made of Stone
- Shoot You Down
- This Is the One
- I Am the Resurrection
- Fools Gold
- I Wanna Be Adored
タイトに、力を潜めているかのように、淡々とたたき続けられるドラムとベースがまずある。一見クールに思えるイアンのボーカルだが、そこには憧れられたい、崇拝されたいという切実で真摯な思いが痛々しいほどに込められている。そのボーカルをドラムとベースが後押しし、それをギターが修飾している。I Wanna Be Adoredは若者ならば誰もが少なからず胸に秘めているであろうナルシシスムな思いを素直に歌った曲だ。そして間奏に入った時、ギターの音とともに曲は炸裂する。しかし、その炸裂は完全に発散しきれずに何か不完全燃焼な状態のような印象をうける。この発散しきれていない中途半端な状態に、Stone Rosesのいらだちと、悲痛さが込められていると思う。だからこそ、この曲は希有な名曲なのだ。
デビュー当時に出ていた1stアルバムの日本版ではこのI Wanna Be Adoredに「憧れられたい」という邦題がついていた。これは邦題にはめずらしく曲の雰囲気にピタリとハマッたタイトルだったと思う。だから今出ている日本版にも、もう一度この曲だけ「憧れられたい」と入れといてほしい。しかしアルバムタイトルを「石と薔薇」にしていたのは勘弁してほしい… 意味わかんないよ。
- Fools Gold
Fools Goldは魔術的なリズムを持っている。この曲のリズムは、気持ちを外へと発散させるタイプのもではなく、内に向けて陶酔してしまうタイプのモノだ。
ドラム、パーカッション、ベース、そしてギターのリフが、複雑にからみあって作られる黒っぽいグルーブは、ジメジメとした湿度の高い空気をカラッと乾いたものにかえ、照りつける太陽の光を強め、眩暈を起こさせる、マジックリズムである。
レニというドラマーはファンタジーの世界にしか登場しない魔法使いが、この世に存在してしまった、とうい奇跡なのか?
もともとこの曲は1stアルバムが出た後にリリースされたシングル曲なので、オリジナルのUK盤には収録されていない。日本盤には7""versionが収録され、US盤には12"versionが入っている。だからUS盤がオススメ。(ちなみにElephant Stoneは1st発売前に出たシングルなのでこれもボーナストラック)