書店員のための『諸星大二郎』講座
諸星大二郎の著作は、絶版、そして再編集されて発売と、いくらか複雑になっています。書店員的に何を店に置こうか、お客様に問い合わせを受けたときどう答えようか? お悩みの方に、またもやザックリとですが、今流通している諸星作品をまとめてみました。
もちろん、書店員でなくとも、諸星の本で何を買っていいか迷っている人にも参考になると思います。
書店員としては、
という感じで、六つのカテゴリーにわけて考えるといいかと思います。
普段はシリアスな物を描く事が多い諸星ですが、不条理でユーモラスな作品も多く、それらはここでは"モロ☆"と呼びます。
〈西遊妖猿伝〉
双葉社の「月刊スーパーアクション」に1983年から連載され、「コミックアクションキャラクター」などを経て、潮出版社の「コミックトム」に1997年まで連載された、諸星最長のシリーズ。
孫悟空、玄奘、八戒らと共に天竺へ取経の旅をする諸星版『西遊記』です。史実とフィクションを織り交ぜた、原典とは別の物語。
第1部大唐篇、第2部河西回廊篇、第3部西域篇、第4部天竺篇の4部構成になっていますが、現在は第2部が完結した時点で、10年間中断されたままです。
この『西遊妖猿伝』には双葉版と潮版と2種類あってどちらもまだ流通(双葉版は一部品切れ)している商品なので注意が必要です。
『西遊妖猿伝』双葉版 全9巻
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1984/03
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『西遊妖猿伝』潮版 全16巻
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 1998/03/01
- メディア: コミック
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双葉社で出ていた第1部大唐篇に大幅な加筆修正がされている。
加筆修正をしたということは諸星自身は潮版を正伝と考えているだろうから、こちらを手にするのが一般的でしょう。
双葉版は、7、9巻が品切れ、もしかしたら、このまま重版されずになくなっていくかも知れません。
〈妖怪ハンター〉
元々「週刊少年ジャンプ」に連載された、考古学者稗田礼二郎を狂言回しとして、日本各地で起こる怪異を綴る連作シリーズ。
考古学、民俗学、神話などをネタに語られる怪奇な事件の数々。大名作であり、諸星入門に最適のシリーズ。
ちなみに『妖怪ハンター』というタイトルは「少年ジャンプ」の編集者が付けたタイトルで、元々主人公の稗田礼二郎は「古事記」の口伝者稗田阿礼からきているため、稗田自身が妖怪をハントするものではない。なので、諸星自身はこのタイトルが気に入っておらず、後に『稗田礼次郎のフィールド・ノートより』、『稗田のモノ語り』などのサブタイトルが付けられたりしています。
『妖怪ハンター 地の巻』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/11/18
- メディア: 文庫
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- 妖怪ハンタープロローグ
- 黒い探求者
- 赤い唇
- 生命の木
- 海竜祭の夜
- ヒトニグサ
- 闇の客人
- 蟻地獄
- 闇の中の仮面の顔
- 死人帰り
プロローグが追加され、長い事読む事のできなかった「死人帰り」が収録されました。
『妖怪ハンター 天の巻』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/11/18
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- 花咲爺論序説
- 幻の木
- 川上より来たりて
- 天孫降臨
- 大樹伝説
- 樹海にて
- 若日子復活
- 黄泉からの声
- 井戸のまわりで
- 黄泉からの声
- 天神さま
以前集英社から出ていた『妖怪ハンター 天孫降臨』には『「花咲爺論序説」と「幻の木」事件−概要−』という作品が収録されていましたが、これはタイトルの通り、「花咲爺論序説」と「幻の木」のあらすじを稗田が語るという物でした。後に語られる話しに関連のあるエピソードなので、未読の人用に作られた物なのですが、『天の巻』には、「花咲爺論序説」も「幻の木」も収録されているので、未収録となってしまいました。
『妖怪ハンター 水の巻』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/12/13
- メディア: 文庫
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- 産女の来る夜
- 淵の女
- うつぼ舟の女
- 海より来るもの
- 鏡島
- 六福神
- 帰還
ちなみに読む順番は『地』→『天』→『水』という順番がベターです。
〈諸怪志異〉
「漫画アクション」などで連載されていた、三国志時代の中国を舞台に修道士の"五行先生"と、弟子の霊感少年"阿鬼"が怪異を解決していく連作シリーズ。
諸星中国物の入門的書。
『諸怪志異』文庫版 現在2巻まで
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2007/01/16
- メディア: 文庫
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〈栞と紙魚子〉
少女雑誌の「ネムキ」に連載された連作シリーズ。
書店の娘"栞"と、古本屋の娘"紙魚子"が奇妙な人々が住む奇妙な街で体験する奇妙な出来事。不条理でユーモラスな"モロ☆"マークな作品。
『栞と紙魚子』A5版 現在5巻まで
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 1996/09
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〈その他のシリーズ〉
上記のシリーズ以外の連作、連続ものです。
『暗黒神話』文庫版
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/11/15
- メディア: 文庫
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- 「暗黒神話」
これも「週刊少年ジャンプ」連載された著者の長編伝奇ミステリーの原典。
日本神話を題材に荒唐無稽ともいえるアクロバティックな展開でぐいぐいと読ませ、諸星的ストーリーテリングにはまれます。
諸星大二郎の長編入門書的本。
- 「徐福伝説」
「史記」に載っている、秦の始皇帝に、「東方の三神山に不老不死の霊薬がある」と申し出て、始皇帝の命を受け、財宝と共に若い男女数千人を従えて秦から東方に船出した、伝説の人物徐福を題材にした短篇。
『孔子暗黒伝』文庫版
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1996/11/15
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論語ネタ満載で、古代中国、インド、日本はおろか宇宙や未来まで、縦横無尽に展開する、諸星哲学の炸裂した大作。
『暗黒神話』の姉妹編。
『マッドメン』
「少年チャンピオン」に連載。
ニューギニアから来た刺青の少年コドアと日本の少女波子が主人公。民俗学をネタに壮大なる話しをでっち上げた傑作。連作短編ですが、後半壮大な話しへと広がっていきます。
- 『マッドメン 1 オンゴロの仮面』文庫版
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社クリエイティブ
- 発売日: 2006/07/14
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- 『マッドメン 2 大いなる復活』文庫版
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社クリエイティブ
- 発売日: 2006/07/14
- メディア: 文庫
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- 「マッドメン」
- 天国の鳥
- 黒い森のナミテ
- 変身の森
- 大いなる復活
- 鯖イバル ★
- ダオナン ★
- ラストマジック ★
- 王の死 ★
以前ちくま文庫版で出ていたように「マッドメン」だけまとめて一冊にして、他の短編は別に短編集としてまとめて、2冊にしても良かったのでは?
他に流通している『マッドメン』にオリジナルのチャンピオンコミックス版もありますが、「鳥が森に帰る時」が収録されておらず、完全版ではありません。
『無面目・太公望伝』文庫版
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 2001/12/01
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両作品とも「月刊コミックトム」に連載。
- 「無面目」
天地開闢の前から思索にふけるといわれる顔のない神"混沌"に、二人の神仙が、戯れに顔を描いたところ、感情、欲などが生まれていき、次第に人間になっていく。
その"混沌"を主人公に武帝時代の「巫蠱の獄」事件を舞台とした作品。
- 「太公望伝」
古代中国、周の文王の軍師とされる呂尚は、文王に「これこそ大公の望んでいた人だ」といわれたことから、太公望と呼ばれる事になりますが、その呂尚(姜尚)が太公望として世に出るまでの物語。
宇宙を支配する原理であるブラフマンと、個人を支配する原理であるアートマンが同一であることを知る事によって、永遠の至福に到達しようとする思想を"梵我一如"(ぼんがいちにょ)と言います。この梵我一如の悟りの境地から、だんだん俗な世界へ落ちていく話しが「無面目」で、偶然梵我一如を体験した男が、艱難辛苦のすえ再び梵我一如へ到達する物語が「太公望伝」というわけで、この二つはワンセットになっています。
二作品とも「月刊コミックトム」に連載。
『海神記』上下巻
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/07/01
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海神記[下] (光文社コミック叢書〈SIGNAL〉 (0007))
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2007/08/31
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「ヤングジャンプ」後に「月刊コミックトム」で連載。
上下巻で4000円もするけど、まだ未完。1巻、2巻とせず、上下巻にしたということは、続きを描く予定がしばらく、無いということなのか? しかし、長い間絶版だった本なので復刊はうれしいところ。
『碁娘伝』文庫版
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 2007/06/25
- メディア: 文庫
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A5版もまだ流通しています。
「諸星版博物誌」
「モーニング」で連載。
- 『私家版鳥類図譜』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2003/03/18
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- 『私家版魚類図譜』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/03/23
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「グリムのような物語」
- 『トゥルーデおばさん』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 2006/02/23
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「ネムキ」で連載。
- 『スノウホワイト』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/11/30
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「ミステリーズ!」で連載。
〈短篇〉
諸星の真骨頂とも言える短編。他の漫画ではなかなか味わう事のできない作品が多く、怪奇、幻想、SF、ギャグなどジャンルも色々とあります。
『失楽園』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 創美社
- 発売日: 1988/05/10
- メディア: コミック
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手塚賞を受賞した初期の大傑作SF「生物都市」はその後出てくるクリエイターたちにかなりの影響をあたえたと思います。塚本晋也監督の『鉄男』なんかは特に。
日本とアメリカの関係を逆転させた「マンハッタンの黒船」は"モロ☆"印なアイディアと遊びがいい。
『不安の立像』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 創美社
- 発売日: 1993/05/10
- メディア: コミック
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- 不安の立像
- 子供の遊び
- 復讐クラブ
- 海の中
- ユニコーン狩り
- 真夜中のプシケー
- 袋の中
- 会社の幽霊
- 子供の王国
表題作「不安の立像」は現代人の心の底に潜む影を扱った怪奇コミックの白眉(恐れおおくもレヴューを書いてみました)
「復習クラブ」はフジテレビ『世にも奇妙な物語』でも映像化されたブラックな一編。
『夢みる機械』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 創美社
- 発売日: 1993/08/04
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- 商社の赤い花
- 食事の時間
- 夢みる機械
- 猫パニック
- 地下鉄を降りて
- 遠い国から
- 感情のある風景
- 地獄の戦士
大都市のリアルな恐怖を拡大させた「地下鉄を降りて」はまさに奇妙な味の傑作。
叙情的な「感情のある風景」は諸星幻想コミックの最大傑作だと思います。
『天崩れ落つる日』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社クリエイティブ
- 発売日: 1997/02/04
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"モロ☆"印なギャグ、ナンセンスな作品を中心に集めた作品集。シニカルなギャグからドタバタまで、普段、緻密でシリアスな作品を描く事が多い諸星のもうひとつの顔。
『ぼくとフリオと校庭で』文庫版
ぼくとフリオと校庭で (双葉文庫―名作シリーズ (も-09-01))
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2006/12/01
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- 方舟が来た日
- 難破船
- 鎮守の森
- ぼくとフリオと校庭で
- 沼の子供
- 流砂
- 黒石島殺人事件
- 城
- 蒼い群れ
- 影の街
主に現代を舞台にした作品が多く収録されているため比較的諸星初心者にも入りやすい作品集。でもテーマは深いです。
表題作「ぼくとフリオと校庭で」はサイモン&ガーファンクルの曲名からとられた青春ファンタジー。
「城」も『世にも奇妙な物語』で映像化されています。
エヴァンゲリオンのデザインの元ネタになったといわれている「影の街」も収録。
A5版もまだ流通しています。
『夢の木の下で』
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: マガジンハウス
- 発売日: 1998/07/01
- メディア: 単行本
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- 1
- 夢の木の下で
- 遠い国から 第一信 『夢みる機械』
- 遠い国から 追伸 カオカオ様が通る
- 第三信 ナルム山紀行
- 第四信 荒れ地にて
- 2
- 壁男 PART1
- 壁男 PART2
- 壁男 PART3
- 鰯の埋葬
『壁男』文庫版
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2007/09/18
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- 1
- 壁男 PART1
- 壁男 PART2
- 壁男 PART3
- ブラック・マジック・ウーマン
- 鰯の埋葬
- 会社の幽霊 『不安の立像』所収
- 2
- 夢の木の下で
- 遠い国から 第一信 『夢みる機械』所収
- 遠い国から 追伸 カオカオ様が通る
- 第三信 ナルム山紀行
- 第四信 荒れ地にて
「壁男」の映画化によって、マガジンハウスの『夢の木の下で』に短編2編を加えて再編集されたのが、双葉文庫版『壁男』。しかし、表紙が酷すぎる、どうにかならなかったのかねこれ。
元々、それほどの傑作ではない「壁男」なのですが、映画化によって表題作になってしまたところに無理がある。
『汝、神になれ 鬼になれ』文庫版
元は、諸星の重厚な絵柄を堪能できるよう、B5版の大きなサイズで出版された諸星自身ののセレクトによる作品集。B5版は既に品切れで、今は文庫版のみ。
諸星自身どんな作品が気に入っていたか興味深い。
リストの作品名の後ろは、他に収録されている単行本のタイトルです。
諸星大二郎自選短編集 汝、神になれ 鬼になれ (集英社文庫(コミック版))
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/11/18
- メディア: 文庫
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『彼方より』文庫版
諸星大二郎自選短編集 彼方より (集英社文庫(コミック版))
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2004/11/18
- メディア: 文庫
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諸星の作品を一通り読もうと単行本を集めようという人には、全ての作品のかぶる『汝、神になれ 鬼になれ』は買う必要の無い本ですが、『彼方より』には「ヨシコちゃんと首たち」「桃源記」「砂の巨人」と、既に流通していない単行本に収録されている短編が3編ありますので買う価値はあります。
諸星大二郎ベスト版という本なので、初めて諸星の本を手に取る人には最適です。
品切れしている短編集
現在品切れしている短編集のリストです。★が付いているのが現在流通している単行本では読めない物です。興味のある人は古本を探してみてください。比較的プレミアが付いていない物が多いです。
どこかの出版社がこの★マークの作品をまとめて出版してくれるとありがたいのですけど。
『夢みる機械』朝日ソノラマ
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 1978/06/30
- メディア: コミック
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「浸食惑星」「ティラノサウルス号の生還」「コッシー譚」「ぼくの日記帳」の四作品が現在読めません。
『アダムの肋骨』奇想天外社
『アダムの肋骨』創美社
創美社版は、奇想天外社版に「失楽園」を収録して、「礎」を「詔命」に改題して再編集した物です。
ほとんどの作品が今読む事のできる物なのですが、「肉色の誕生」のみ未収録。これは現在品切れですが『海竜祭の夜 妖怪ハンター』創美社に収録されていて、こちらの方が古本が手に入りやすいです。
『コンプレックス・シティ』双葉社
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 1992/12
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『天崩れ落つる日』の様にギャグ中心の単行本です。「人をくった話」「砂漠の真ン中に」「ふしぎなナプキン」「むかし死んだ男」「ジュン子・恐喝」の5編と、今読めない作品が多いのでこの本も貴重です。
特にデビュー作「ジュン子・恐喝」は読んでみたい作品。
『地獄の戦士』集英社
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1981/03/25
- メディア: 新書
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こちらも、収録されている作品は全て今読む事ができます。
『子供の王国』集英社
子供の王国―諸星大二郎珠玉短編集 (ジャンプ・コミックスデラックス)
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1984/08/15
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「オー氏の旅行」のみ読めません。
『砂の巨人』朝日ソノラマ
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 朝日ソノラマ
- 発売日: 1984/10
- メディア: コミック
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- ロトパゴイの難船 ★
- 砂の巨人 『彼方より』
「ロトパゴイの難船」が読めません。
出版社への希望
メディアファクトリーの『幽』に掲載されている作品はいずれ、纏められて単行本化するでしょうし、『ウルトラジャンプ』の「未来歳時記」シリーズもいずれ集英社から単行本が出るでしょう。
が、現在手に入りにくい作品を纏めてみると、
かつて単行本に収録されていたが、現在入手困難な作品。
- 浸食惑星
- ティラノサウルス号の生還
- コッシー譚
- ぼくの日記帳
- 肉色の誕
- 人をくった話
- 砂漠の真ン中に
- ふしぎなナプキン
- むかし死んだ男-
- ジュン子・恐喝
- オー氏の旅行
- ロトパゴイの難船
単行本未収録の作品
- 硬貨を入れてからボタンを押して下さい
- 現代間引考
- 青ひげおじさん
- 女は世界を滅ぼす
- ミノスの牡牛
- ドクター・モロの逆襲
- 闇の鴬
- 星山記
- 涸れ川
- 瀕海粟木町怪異譚 それは時には少女となりて
- 猫六先生執筆録
- 空気のような…
- 人魚の記憶
以上の25作品ををどこかの出版社が纏めて単行本化してくれるのを強く希望。
〈小説〉
『キョウコのキョウは恐怖の恐』
「小説現代 メフィスト」などに掲載された小説集。日常に潜む「恐怖」を描いたホラー小説集。
表紙画、挿絵なども諸星が描いてます。
現在品切れのようで、既に手に入りにくいかもしれません。書店で見つけたらすぐ買いましょう。
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/30
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- 狂犬
- 秘仏
- 貘
- 鶏小屋のある家
- 濁流
『蜘蛛の糸は必ず切れる』
ホラー小説集第二弾。
- 作者: 諸星大二郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/09/11
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- 船を待つ
- いないはずの彼女
- 同窓会の夜
- 蜘蛛の糸は必ず切れる
まとめ
何から買っていけばいいか?
- 手広く諸星の作品群を俯瞰したいなら、自選短編集の『汝、神になれ 鬼になれ』『彼方より』を。
- ですがやはり一番のお勧めが「妖怪ハンター」シリーズ。これは『地』→『天』→『水』→『魔障ヶ岳』という順番で読んでください。
- 長編で最初に読んだ方がいいのは『暗黒神話』です。
- 中国物でお勧めは『諸怪志異』一話読み切りのシリーズです。
- コメディなど軽い読み物が読みたいなら『天崩れ落つる日』『栞と紙魚子』がお勧め。
- ま、基本的に諸星作品は、どんな順番で読んでもかまいません。
- ここまで読んできたら『海神記』や『西遊妖猿伝』が読みたくなっているはずです。
書店になにを置けば良いか?
- 今は映画化もあり、新刊である『壁男』が当然一番売れています。値段が高くとも『海神記』も新しいので売れています。
それ以外では優先順位はこんな感じです。今までの経験による独断で、実際の販売実績に基づいているわけではありません。
まず文庫がよく売れています。
- 『妖怪ハンター 地の巻』『天の巻』『水の巻』
- 『暗黒神話』『孔子暗黒伝』
- 『汝、神になれ 鬼になれ』『彼方より』
- 『諸怪志異』
- 『ぼくとフリオと校庭で』
- 『無面目・太公望伝』
- 『栞と紙魚子』
- 『マッドメン』全2巻
- 『碁娘伝』
以上を上から優先に棚に許す限り入れていきましょう。
次にA5版の本の優先順位です。
- 『私家版鳥類図譜』『私家版魚類図譜』
- 『トゥルーデおばさん』『スノウホワイト』
- 『魔障ヶ岳 稗田のモノ語り 妖怪ハンター』
- 『不安の立像』
- 『失楽園』
- 『夢みる機械』
- 『諸怪志異』全4巻
- 『天崩れ落つる日』
- 『栞と紙魚子の生首事件』『栞と紙魚子と青い馬』『栞と紙魚子殺戮詩集』『栞と紙魚子と夜の魚』『栞と紙魚子何かが街にやって来る』
「諸星版博物誌」と「グリムのような物語」は比較的刊行が新しいので今でもよく売れます。それ以下はそれほど大きな差はありません。
『夢の木の下で』マガジンハウス版は『壁男』双葉文庫版が出たので必要は無いかもしれません。しかし、『壁男』の表紙が気に入らない人はマガジンハウス版を買うかも。
『西遊妖猿伝』ですが、スペースがたっぷりある場合は潮版全16巻を全て置けばいいのですが、潮版の1〜3巻だけ置いておいて、後は客注してもらうというのがいいかもしれません。
おまけ
諸星作品には少ないですが映像化されている作品がいくつかあります。
『ヒルコ 妖怪ハンター』
- 出版社/メーカー: ハピネット・ピクチャーズ
- 発売日: 2000/12/21
- メディア: DVD
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アクションたっぷりのB級ホラーで、切ない青春ムービーでもあります。個人的には大好きな作品。
ヒルコが学校の廊下を疾走するカメラアングルはその後のに作られた『エイリアン3』でも見られます。
『奇談』
- 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
- 発売日: 2006/05/25
- メディア: DVD
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『壁男』
9/15より公開されている、諸星映像化最新作。堺雅人、小野真弓出演。早川渉監督作品。
こちらのサイトにレヴュー書いときました。
official site